溶接で独自の工夫 全日本高等学校ゼロハンカー大会開催
(「溶接ニュース」2025年2月25日付 1面より)
「第22回全日本高等学校ゼロハンカー大会」(主催=全国自動車教育研究会西日本地区、主管校=おかやま山陽高校)が岡山県浅口市の三ツ山スポーツ公園新多目的広場で開催。12府県30校から72台が参加し、熱い戦いを繰り広げた。
ゼロハンカーとは、自作のフレームに総排気量50cc未満のエンジンを搭載した四輪車のこと。フレームは全て溶接などを用いて手作りしており、軽量化や耐久性が勝負を左右するポイントとなる。
ゼロハンカーによる競技のもよう
出場校のうち、岡山県立興陽高校の和田弓弦さんは、スピードを出すために車体の軽量化に徹底的にこだわったという。
「無駄な溶接を極力排し、薄く溶接することを意識した。特に、線ではなく点のタック溶接をしたことが軽量化に直結するポイントだ」と語る。半自動溶接で全体を接合した後、最後にティグ溶接でビードを整え、熱が均等に入るように意識したそう。
和田さんは「前日と今朝の試走では調子よく走れたので、本番も自分の走りができるようにしたい」と意気込みを示した。
おかやま山陽高校の白神駿一さんは、車体の剛性を上げるため、補強の入れ方に注力したと話す。
「通常はストレートに溶接するところを、クロス型に溶接することで補強した」と、独自の工夫を明かす。フレームの溶接は車体全体の熱ひずみを考慮しながら、タック溶接を対角に交互に行うことで歪みを抑えた。
「1年生からメカニックとして参加し、3年になった今、自作の車体を自分で運転して競技する最初で最後の機会となった。今がすごく楽しいので、レースの結果はどうなっても最後まで楽しみたい」と笑顔を見せた。
大会は直線100メートルのドラッグレースでタイムを計測する一次予選からはじまり、最終的に勝ち残った10台だけが決勝に進む。決勝戦では、24分間の耐久レースで周回数を競い合い、終了時間から3分以内にゴールラインを通過できなければリタイヤとなる厳しい戦いだ。
激闘の末、岡山県立東岡山工業高校の橋本陽斗さんが優勝トロフィーを手にした。
(「溶接ニュース」2025年2月25日付 1面より)