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溶接教育の今/卒業生通じて企業から指導受ける(兵庫工業高校)

溶接高校生
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(「溶接ニュース」2024年12月24日付 1面より)

12月の過日。
兵庫工業高校(神戸市)でコベルコE&M(神戸市)の溶接士による技術指導が行われた。2月に控えた溶接技能者評価試験で、基本級A-2F(被覆アーク・下向き・裏当てあり)を取得するための特別実習だ。生徒たちは年をまたいだ1月末にもう一度、同社から技術指導を受け、試験に挑む。

   若手溶接士の刺激、そして広い意味で「技能伝承」に。求人面の効果も期待

受講したのは同校機械工学科2年生の8人。技量レベルは様々で、まだ仮付しかしたことのない生徒もいる。だからこの日のテーマは「アーク発生から初層まで」。1月に今度は最終層までの指導を受け、万全を期して試験を受ける―そんな段取りになっている。

溶接経験の少ない生徒だと、まず均一なビードを引くことが課題となる。例えば、蛇行して、幅も乱れたビードになったとする。するとコベルコE&Mの溶接士はこんな助言を送る。

「プール(溶融池)の形はビードの形と一緒だから、プールをよく見て」「プールが大きくなり過ぎることは、溶接速度がゆっくり過ぎだということ」。

ビードの幅が広がっていると「棒の先端だけを動かす感じで」。開先の片方だけエグれていると、「棒を横に振り過ぎている」。

そして次のようにまとめる。「ビードを見ると、運棒がどんな動きをしているのかがわかる。どれだけ一定の早さでできるか(ビードを引けるか)。そこに気を付けて」。

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溶接指導の様子

この実習は、同校卒業者がコベルコE&Mに就職したことがきっかけだ。同校機械工学科の山口慎一教諭がこの卒業生に声をかけ、最初は求人依頼、次に特別実習という流れでつながっている。

コベルコE&Mにとっては、高校生を指導することが若手溶接士の刺激になるし、広い意味で「技能伝承」にもなる。人手不足の中、求人面での効果も期待できる。工業校にとっては、プロの指導を仰げるまたとない機会だ。ただ、今回は教諭個人のツテで行ったもので仕組みにはなっておらず、継続できるかは教諭個人の力量次第だ。

技能向上への取り組みは他に競技大会への参加がある。

部活動に当たる「チャレンジ同好会(溶接部門)」所属の生徒たちが、今年は「高校生ものづくりコンテストの地区大会」や県の外郭団体が主催する「ものづくり兵庫技能競技大会」、近畿中小企業溶接事業協同組合が主催する「KYK溶接技術コンクール」、そして全国選抜高校生溶接技術競技会に出場した。成績が出れば悲喜こもごもが起きるが、それも刺激になる。向上心に火をつける一助として、競技会への参加も活用している。

(「溶接ニュース」2024年12月24日付 1面より)

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