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国体用ジャッジボックスを製作 岡山の高校生が社会貢献

溶接高校生
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(「溶接ニュース」2024年12月17日付 1面より)

2025年1月26日から2月5日までの11日間、岡山県内で開催される「第79回国民スポーツ大会(国体)冬季大会スケート競技会・アイスホッケー競技会」。県下の水島工業高校と津山工業高校の生徒たちは今夏、アイスホッケー会場で使用される「ジャッジボックス」と「フラッグスタンド(旗立て)」の製作に取り組んだ。

今回取材した水島工業高校では、建築科と機械科が共同で製作。中でも機械科3年生の橋本太陽さん、井上竣介さん、中川翔夢さんは同ボックスのフレーム部分の製作に携わった。橋本さんが主に溶接を担当し、井上さんがグラインダ掛けによる仕上げ加工と溶接を。一方、設計や図面製作が得意な中川さんはフラッグスタンド製作を主に担当した。

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作業は悪戦苦闘の連続だった

   作業は悪戦苦闘の連続「最後は叩きながらはめ込んだ」


ジャッジボックスのフレーム部は、1基あたり長さ6メートルの角パイプを5本使用。学校教諭らの指導と協力のもと設計図を作り、それに基づいて部材を切断し、仮付や本溶接で立体構造物に仕上げた。ただ角パイプは板厚(肉厚)が薄く、熱変形や溶融池の溶落ちなど、作業は悪戦苦闘の連続だったようだ。

それでも井上さんは「点と点をつなぎ合わせていくような要領で溶接した」と言い、橋本さんは「徹底的に電流調整にこだわり、最適値を見つけ出してきれいな仕上がりを目指した」と工夫しながら、一つひとつ丁寧に仕上げていった。中でも苦労したのが、フレーム底部の鳥居形部分。熱の歪みで部材が収縮し変形したりしたため、組付け作業が思うように捗らなかった。「様々なひずみ取りもしたが、最後は叩きながらはめ込んだ」と3人は苦笑いする。

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電流調整で最適値を見つけ出し、きれな仕上がりを目指した

   怪我をしないよう「安全性」にこだわる


「グラインダ掛けが得意」な井上さんは完成品の『安全性』にこだわり、研磨作業に取り組んだそうだ。「運搬時や会場での設置作業時に、多くの人がこのボックスに触れることを考慮し、素手でどこを触っても怪我をしないようにと心掛けた」と話す。ばりや溶接部の余盛除去、角パイプ両端部の処理など、細心の注意を払った。

フラッグスタンド製作を担当した中川さんは、「旗を立てた際に美しく見えるよう『角度』にこだわった」と言い、「図面自体がなかったので、写真から大体の大きさを割り出し、先生や製造業を営む橋本くんの家族に相談したほか、みんなと意見交換しながら最適な角度を計算した」と話す。

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使い手の安全性にもこだわって研磨作業に取り組んだ

想定以上の溶接ひずみに悩まされ、製作途中の仕様変更など、数々の困難に直面した3人だが、協力し合うことで期日内に仕上げることができた。「貴重な経験ができてうれしい。ウインタースポーツを観たことがないので、これを機にアイスホッケーを見に行きたい」と笑顔を見せた。

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ジャッジボックスのフレームと製作を担当した中川さん(左)、橋本さん(中央)、井上さん(右)

(「溶接ニュース」2024年12月17日付 1面より)

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