栃木県溶接協会 第15回高校生溶接コンクール 3校8人出場し技量競う
(「溶接ニュース」2024年10月15日付 12面より)
栃木県溶接協会(関根俊宗会長)は9月21日、宇都宮市の県央産業技術専門校で第15回「栃木県高校生溶接コンクール」を開催した。県下の高校3校から8人(エントリー9人のうち1人欠席)が出場し、この日のために上達を目指してきた溶接の技量を競い合った。
関根会長は開会挨拶で「出場選手は自信をもってこれまでに積み重ねた練習の成果を発揮してもらいたい」と激励。次いで審査委員長の塚原幸一副会長が競技内容と開催要領、審査のポイントや注意事項などを説明し、「競技本番ではケガをしないよう、安全な作
業を心掛けてほしい」と呼びかけた。
同コンクールは今回で15回目の開催となり、2018年以降、県主催「とちぎものづくりフェスティバル2024」の一部門として行われている。関東甲信越溶接コンクール大会に参加する選手の選考を兼ね、競技成績上位2人が同大会に出場できる。当日は足利工業高校、栃木工業高校、真岡北稜高校の生徒8人(2年生2人、1年生6人)が出場し、選手たちは真剣な面持ちで競技に臨んでいた。
競技課題に挑む選手
競技課題はJIS溶接技能者評価試験「N-2F」に準じて板厚9ミリの中板、裏当て金なし、下向姿勢、V形開先の突合せ継手を条件に被覆アーク溶接を行い、最終層は競技材の中央部にある指定範囲でビードを継ぐ。提出された競技作品は、ビード外観と超音波探傷試験による内部欠陥の有無、違反行為、不安全状態・行為について審査。その結果は2週間以内をめどに発表し、成績順に優勝、準優勝、優良賞を授与する。県の表彰式は11月下旬、栃木県職業能力開発促進大会に合わせて行われる予定だ。
一昨年、昨年と2年連続で優勝者を輩出し、今回2人の1年生が出場した足利工業高校機械科の篠原彬統教諭に日頃の練習の秘訣を聞いたところ、「何よりも生徒のやる気を大事にしている。優勝した先輩が良い目標となっており、放課後などに外部指導者の技術指導も交えながら練習を繰り返した努力が素晴らしい成績として結実したと思う」とコメント。競技本番に臨む生徒には「3連覇がかかっていることがプレッシャーにならないよう、いつも通りにやればよいと声をかけた」という。
また、競技を終えた選手に練習時に気を付けたことや競技に臨む際の心持ち、本番での手応え、将来の就職希望を聞いた。
初出場となる足利工業高校1年生の大串凪海さんは「制限時間を守ることに重点を置いて練習を重ね、本番では2年連続で優勝した先輩に続く気持ちで挑んだ。初層の溶接は手古摺ったが、最終層に近づくにつれて練習以上に上手くできた。溶接の技術を生かせる仕事に就くかどうかについてはまだ何も考えていない」、昨年に続いて出場した栃木工業高校2年生の中島聡太さんは「前回成績の5位以上を目指して参加したが、緊張して練習通りにできない部分があった。溶接が好きなので、将来はもちろん溶接関係の仕事に就きたい、できれば自動車分野が望ましい」、同じく2年連続出場した真岡北稜高校2年生の菊地奨英さんは「良質な溶接施工を意識していて、前回よりも技量は上がったと思う。裏波などの難しく不得手だったところを重点的に練習し、改善を図った成果が得られたのではないか。今後、就職先として溶接関係も視野に入れたい」とそれぞれ語った。
(「溶接ニュース」2024年10月15日付 12面より)