京セラインダストリアルツールズ 「リンクコントロールシリーズ(Lシリーズ)」新発売  第一営業部責任者 山本哲史氏に聞く

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京セストリアルツールズ
リンクコントロールシリーズ販売開始

京セラインダストリアルツールズ(本社・広島県福山市)はこのほど、コンパクトかつ軽量、ハイパワーの電動工具「リンクコントロールシリーズ(以下、Lシリーズ)」を開発。3月4日より販売を開始した。

今回のWelding Mateでは、同シリーズの発売に当たり、同社営業事業部第一営業部責任者の山本哲史氏に、商品のコンセプトや性能面の特徴などについて話を聞いた。

「Lシリーズ」の商品コンセプトとは

京セラインダストリアルツールズ・山本氏 (1).jpg

まずは、会社方針として、「金属加工市場への積極取組み」を掲げ、これまで製品開発を続けてきました。

それはすなわち、「ユーザーの視点に立った製品開発」ということにあります。

一方で、営業面については、ユーザーが抱える課題解決、すなわち「ソリューション営業」の展開が、会社方針としてありました。

これは、「売って終わり」ではなく、販売後もユーザーとつながっていくことが信頼を築く上で重要であり、将来にわたってユーザーの課題解決に貢献し続けるという考え方です。

今回発売したLシリーズは、まさにそうした当社の会社方針を具現化したもので、ユーザーである経営層から現場作業者まで、ご納得いただけるものに仕上がったと自負しています。

経営層に訴求できるポイントとは

例えば、現在、二酸化炭素の排出量削減という社会課題があります。

以前は大企業のみが積極的に取り組んでおり、関係企業全体まで広がりを見せていませんでした。しかし、現在はサプライチェーンの中では、どの企業においても着手しないと「仕事をもらえない」というケースも発生し、いやがおうでもカーボンニュートラルに寄与していかなければならなくなってきているのが実情です。

その中で、電動工具メーカーとしてできるものは何かと考えた時、たどり着いたのが今回のLシリーズです。


具体的には、現在エアーツールを使用されているユーザーの場合、37KWのコンプレッサーで、砥石径100㎜のグラインダーを12台使用した時と、Lシリーズ12台使用した時とを比較すると、電気使用量を78%削減することができます。

これは、グラインダー作業においてカーボンニュートラルに貢献できる大きな材料となります。その他の使用環境においても、当社が作成した試算表で電気使用量、二酸化炭素排出量の改善効果を定量的に提案することが可能です。

これに、現場から作業性の良さを認めていただけたら、一気に採用が広がるものと期待しています。

Lシリーズのスペックについて

コントローラー、脱着ケーブル、工具の3つのユニットで構成されており、第1弾として工具はディスクグラインダー3機種、ベルトサンダー1機種、ダブルアクションサンダー1機種をラインアップしました。

工具は今後、用途に合わせて次々と開発・発売を進めていく方針なので、是非ともご期待いただきたいと思います。

Lシリーズの概要.jpg


性能面での訴求ポイントとしては、ブラシレスモーターを搭載した電動工具の場合、通常は本体に内蔵されているモーターの制御回路を置いてますが、これをコントローラー側に搭載したことによって、高出力でありながら軽量・コンパクト化が実現しました。

さらに、持った時のバランスまで配慮した設計が可能となりました。

また、ユーザーとつながる具体的なツールとして、工具の使用状況や、困ったときの対処方法などを確認できるスマートフォン用アプリも準備しています。

これは、今後更なる機能の充実を計画しており、購入後のアフターサポートに力を入れていきます。

テストしたユーザーの声

エアーツールと比較した時、「バランスが良いし重さも感じない。パワーもあり振動も少ない」と高評価を得ています。

またエアーツールの場合、エアーの供給量が必ずしも一定でない時があり、それがストレスになっているという声も良く聞かれますが、Lシリーズは、電気制御により常に一定のパワーを維持できるため、快適に作業ができると喜ばれています。

電動工具を使用されている
ユーザーへの訴求ポイント


造船や橋梁、鋳物などのユーザーでは180㎜の高周波ディスクグラインダーを使用されるケースが多いのですが、それに比べると非常に軽く、パワーも同等、振動も少なく、疲労を軽減でき、作業効率が上がると評価をいただいています。

また、昨今は研削力が非常に高い砥石も発売されていますが、それを使うと負荷を必要以上にかけてしまい、電動工具の回転数の落ち込みによって、作業効率の低下、挙句は故障してしまうという事態も発生し、砥石の性能を最大限に引き出せないという声もありました。

そこで、その砥石をLシリーズのディスクグラインダーで試してみたところ、大きな負荷を掛けても一定の回転数を維持し快適に作業できることが確認できました。

今後はそのような悩みを持つ研削砥石メーカーとのコラボも視野に入れ、拡販に取り組んでいきたいと考えています。

その他Lシリーズの特徴

コントローラーは接続口数が1個タイプと4個タイプの2機種をラインアップしました。

ケーブル長は5mと10mの2種類に、今後さらに長いものも投入する予定です。

ケーブルは、高耐久のラバー材を採用し、火花や劣悪な環境においても使用できるものとしています。

ディスクグラインダーは砥石径100㎜タイプ2機種(スライドスイッチおよびパドルスイッチ)と180㎜タイプから選べるほか、ベルトサンダーも切削幅10㎜タイプと20㎜タイプを用意しました。

もちろん、ディスクグラインダーは再起動防止機構やブレーキ、ソフトスタート機能など安全性についても十分配慮したものとなっています。

Lシリーズの工具本体に内蔵されている高出力のブラシレスモーターは、モーター部をアルミケースで覆った二重構造の密閉式で耐粉じん性に優れ、発熱も少ないほか、フィードバック制御で回転数の落ち込みが少なく、ストレスなく作業をこなせます。

Lシリーズによる研削作業の様子.jpg

Lシリーズを市場へ浸透させるための施策

3月から5月までの3ヵ月間にわたり、発売記念キャンペーンを実施します。

新品を1週間、ユーザーへ無償で貸し出し、気に入っていただければそのまま特別価格で販売します。

このキャンペーンを代理店、販売店の皆様のご協力を得ながら積極的に展開し、早期の市場浸透を図りたいと考えています。

Lシリーズのコンセプトはこれまでの電動工具にはなかったものであり、当社だけでなく代理店、販売店の皆様にとっても、よりユーザーとのつながりを強くする商材になり得ると確信しています。

今後も代理店、販売店と協力して、ユーザーが抱える課題解決に貢献できるメーカーであり続けたいと思っています。

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