雪の大地で炎の決戦 「第54回青森県溶接技術競技大会」
大寒波が日本を襲った2月8日、各々の身長よりも高く積みあがった積雪に負けない、ホットなイベントが青森県で開催された。
その名も第54回青森県溶接技術競技大会。
当日、県内で、腕自慢の溶接士が青森工業高校に集い、文字通り火花を散らした。
今回のWelding Mateでは、注目の溶接士に話しを聞いた。
▲八戸工科学院
左から、泉山輝さん、木村颯詩さん、工藤怜さん、田代幸太さん
■ポイント
今回の青森大会で唯一の学生チーム・泉山さん(2年生)
「電流値を上げすぎて穴をあけてしまう傾向にあったので調整してきた。将来は鉄骨分野の溶接士として就職が決まっている。やった分上達するのが溶接の魅力だ」・木村さん(2年生)
「邪魔板の繋ぎ部分が難易度が高いため集中して練習してきた。機械・設備関係に就職が決まっていいるが、溶接には将来も携わりたい。やればやっただけ、こだわるポイントが見つかるため、溶接は面白い」・工藤さん(1年生)
「溶接ビードを真っすぐ引くことが難しい。将来は溶接士として働きたい。うまくなるのが実感できるのが溶接の魅力だ」・田代さん(1年生)
「1層目の溶接で、しっかりと裏波を出すことに注力してきた。鉄骨分野で溶接士として就職することが決まっている。2つの鋼がくっつく現象は、何度見ても飽きない。それが溶接の魅力だと思っている」
▲長谷川鉄工
左から、白取雄太さん、佐藤淳一さん、品川達哉さん、田端優揮さん■ポイント
前回の青森大会の優勝者が在籍・白取さん
「溶接の溶込み、外観、手を動かす速度など、各種項目のバランスを意識して調整してきた。溶接は、人の命を守る誇りある仕事だ」・佐藤さん
「溶接外観を整えていく作業は、突き詰めると天井がない。マニアックでアート性があり、職人としての勘所も必要なのが溶接で、そこが面白いポイントだ」・品川さん
「溶接競技会には初参加だ。溶接歴も1年と、参加選手の中では短いため、日々勉強だ。競技会に参加することで、青森県を代表する溶接士の技能を間近で見られるのが楽しみだ」・田端さん
「前回の青森県大会で優勝したため、昨年末に全国大会の出場してきた。全国大会と青森県大会は使用する設備が異なるため、全国大会用の溶接条件を見直してきた。同じ条件でも、毎回異なる仕上がりになるのが溶接の面白いところで、難しいところだ」
▲SINMEI
左から、三橋丈二さん、三橋拓哉さん、安田悠正さん・三橋丈二さん
「競技会で大切なのは大きなミスをしないことだ。何回やっても、安定した作業ができるように調整してきた。溶接は、同じ条件でも、各自の作業に個性が出てしまうのが面白い」・三橋拓哉さん
「練習では手順にミスがあったため、1つ順番を間違えると作業のリズムが狂うため、手順を確認しながら競技会に臨む。溶接は難しい作業だが、脚長が一定で外観が整うと、やりがいを感じる」・安田さん
「自社で練習する時と、競技会場の設備が異なるため、競技会の設備で溶接するイメージを持って、1週間を練習に費やした。溶接で出るアーク光は暖かいため、積雪の多い青森県の冬にはもってこいの技能だ」
▲高橋製作所
左から、木村雄太さん、水上龍海さん、西村一葵さん、小向智也さん・木村さん
「裏波がきれいに出ない時期が続いたため、電流値や鋼板の間隔を見直した。脚長やビードが、想定していた通りバシッと決まった時に、溶接が好きだと感じる」・水上さん
「初めての競技会だ。裏波がしっかりと出るように溶接したい。溶接は、誰の溶接かが作品を見るとわかるといった各自の個性が出るのが面白い」・西村さん
「邪魔板のつなぎ部分と、溶接を終えるポイントでミスが多い。溶接は、自分の技術力が上がれば、しっかりと目に見えて、鋼板に反映されるのが魅力だ」・小向さん
「初層、溶け込み、外観など、作業のバランスを意識して調整を続けてきた。遮光面を外した時に、自分の思い通りの溶接ビードが引けている時、溶接が面白いと感じる」