(株)八木産機 李達社長インタビュー ハンド型メーカー生き残り戦略 「中国でのサプライチェーンとメンテナンスが鍵」
新車を買って3ヵ月、実は既に2万㎞以上走行している。
異常な走行距離の理由は、当社が、技能者が手作業で使用するレーザ溶接機「ハンド型ファイバーレーザ溶接機(ハンド型)」のメーカーであり、ありがたいことに日本中から引き合いをいただいているからだ。
当社では2020年からハンド型の販売を開始し、既に400基以上が日本中で稼働している。
近年、当社の製品だけでなく、ハンド型は日本中の溶接事業所で爆発的に普及している。いつも、楽しみにしている国際ウエルディングショー(2024年4月24日~27日)でも、ハンド型のメーカーは急増していた。
今まで1千万円単位の投資が必要だったハンド型は、安価な中国製品が日本でも流通するようになり、購入のハードルが格段に下がった。
そのため、当時は大手企業への導入が多かったハンド型は、現在、中小企業にも導入が進んでいるのだ。
しかし、当社では、今後数年以内に日本のハンド型市場は飽和すると考えている。
生き残りをかけたハンド型のメーカーにとって、欠かすことができないのは「中国から発振器をはじめ部品を取り寄せられるサプライチェーンの構築」と「販売先へのメンテナンス」だろう。
普及段階であれば、安価な中国産のハンド型を購入し、商流に乗せることができれば受注数は増えていった。
しかし、ハンド型が普及しきった後は、故障や2基目の購入に対して、安定的に部品類を供給し続けるために、中国でサプライチェーンを構築できているのかが鍵になる。当社では、中国にも事務所がありレーザ大手企業と現地でやり取りしているため、比較的、流通が滞りにくい。
加えて、当社製のハンド型は「ヤマト運輸のJITBOX便で送ることができる」ように、多くのモデルを小型に改良している。宅急便で送ることさえできれば、故障時であっても、翌日にはユーザーの手元に代替品が到着することができるからだ。
今後、メンテナンスの都度、技術者が日本中を行き来することを考えると、ハンド型の価格を上げる以外の方法はない。
しかし、既に多くの企業でハンド型が稼働している当社の場合は、メンテナンスコストを削減しながらも、顧客のトラブルシューティングの速度向上を実現できるように尽力している。
戦いはこれからだ!