2025年度の全国大会への切符をかけ長野県溶接コンクール開催 「溶接って最後はハート」
10月に開催された日本一の溶接士を決める「全国溶接技術競技会」の興奮冷めやらぬ中、長野県の溶接界では既に、2025年度の同競技会に出場する選手の選別に動き出した。
長野県では12月1日に、2025年度の全国大会への出場切符をかけて長野県溶接技術コンクールが実施され、冒頭、長野県溶接協会の羽生田豪太会長は、「溶接に限ったことではないが、最終的にはハートが強い人が勝つ」と宣言。
今回のWelding Mateでは、長野県で熱いハートを持ち、活躍が期待される溶接士に話しを聞いた。
▲左:稲葉大地選手
■種目:被覆アーク溶接の部
■所属:(株)前田鉄工所2024年度の長野県大会を制して、全国競技会に参加した。10月の全国大会と長野県大会は競技課題が同じのため、比較的、練習に費やした時間の総量は多い。
練習では、「X線検査の結果が想定通りにならない」といったスランプの時期があり、溶接作業中の肉盛り方法を見直した。出場するからには優勝を目指す。
▲右:望月昭太選手
■種目:半自動溶接の部
■所属:(株)前田鉄工所長野県大会の直前は、本業の繁忙期と重なってしまい、1週間に2時間程度しか練習時間を確保できなかった。そのため、練習では初層に絞って練習を繰り返した。
同じ会社の稲葉選手と一緒に、2024年度は長野県大会を制し、全国競技会に駒を進めることができたため、今回も両部門で優勝したい。
溶接は積み重ねの技能だ。直前こそ練習時間を満足に取れなかったが、入社してから100枚以上の鋼板を溶接してきた経験を信じて臨む。
▲米山匠選手
■種目:半自動溶接の部
■所属:(株)ヤマウラ11月下旬に開催された技能五輪全国大会に出場した。長野県の溶接コンクールとは、異なる競技課題に向けて調整してきたため、技能五輪の終了後に、長野県大会の競技課題に向けた練習を行った。
中板の曲げ試験に苦手意識があり、初層の溶接を中心に練習した。
優勝する自信がないわけではないが、まだ上達の余地はある。
▲坂田亨選手
■種目:半自動溶接の部
■所属:(株)羽生田鉄工所コンクールは、一斉に大人数が溶接機を使いだすため、電流値が乱れやすい。これは事前に予想できるものではないため、注意して臨みたい。
コンクールとは関係ないが、私は、本年度の「信州の名工」に選出された。これは、積極的に溶接技能を伝承してきた、過去の取り組みが評価されたのだと自負している。
当然、長野県大会での優勝を目指してはいるが、必ずしも私が優勝する必要はない。溶接を指導してきた後輩をはじめ、羽生田鉄工所として結果を残したい。