日本製鉄(株)と設備事業支える4社 「溶接競技会を実施」 優勝候補インタビュー

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 日鉄関連5社溶接の腕競う

「鉄は国家なり」という伊藤博文の言葉を生み、今もなお、それを体現し続ける日本製鉄株式会社(旧八幡製作所)。

同社の君津地区設備部、実行委委員会では1220日に設備部門溶接競技会を開催した。

内容は、日本製鉄に加え、同社の設備事業を支える4社(日鉄物流、日鉄テックスエンジ、山九、高田工業所)が集い、計20人の溶接士が被覆アーク溶接(手溶接)、半自動溶接(半自動)、管溶接の3つの部門で腕を競うというもの。

DSC03925.jpg被覆アーク溶接の部

この競技会は、2025年度の千葉県溶接技能競技会と同様の条件で行われており、いわば前哨戦ともいえる。今回のWelding Mateでは、水面下で火花を散らす選手の中でも、特に注目される選手に話を聞いた。

 優勝候補インタビュー

DSC03951.jpg▲佐々木太洋さん
所属:日鉄物流
種目:管溶接の部
実績:前回大会管溶接で優勝

溶接士としては7年目になります。管溶接は、溶融した金属が垂れ落ちる危険があるため、とにかく安全に気を付けています。

当時、私には仕事の面白みを感じられていない時期があり、そんな時に溶接と出会い、仕事が楽しいと思えるようになりました。

今よりもっと楽しいと感じるためには、技能の習熟が欠かせないでしょう。前回優勝者として、当然のことですが、2連覇を目指します。

 

DSC03952.jpg▲今倉界太さん
所属:日本製鉄
種目:管溶接の部

管溶接は複数の姿勢で溶接をするため、一つひとつの工程で、自分に合った姿勢を探しながら練習してきました。全体的な順位よりも、自己ベストを出すことにこだわりたいです。

将来は、一流の鉄鋼技能者として活躍していきたいと考えています。それには幅広い技能を磨く必要があるため、まずは主要技能である溶接で、存在感を示そうと思います。

 

DSC03955.jpg▲下城伶さん
所属:高田工業所
種目:手溶接
実績:初出場

手溶接は高い電流値で行うため、油断すると肉盛りしすぎてしまいます。開先の角度・幅で、肉盛り量を調整できるように練習を積んできました。

緊張はしない性格ですが、競技会は作業量が多いため、焦ってしまうのが危惧されます。

本日の大会は、千葉県溶接技術競技会の前哨戦に位置付けられているため、体験した全てのことを県大会に生かせるように吸収します。

DSC03958.jpg▲田村美紅さん
所属:山九
種目:半自動
実績:世界中の山九溶接士300人が技量を競う「山九グローバル2024」で2位。

自信はあります。父が溶接事業所を営んでいるため、昔から溶接に触れる機会はあり、ずっと近くで見てきた技能です。

練習ではレントゲン検査で減点されないために、2層目の溶け込みを意識しながら調整してきました。今後も技能者として成長していきたいですが、今は、自分の限界まで溶接技能を磨いていきたいと思っています。

 

DSC03959.jpg▲小船迅哉さん
所属:日鉄テックスエンジ
種目:手溶接
実績:千葉県溶接技術競技会3連覇

日頃の業務では、溶接の部署ではないため、溶接士ではありません。

千葉県溶接技術競技会を3連覇しており、「溶接士でなくとも上達する理由」を聞かれることもあるのですが、癖がついていないことが大切だと自負しています。手慣れや癖がないため、短期間で先輩溶接士のアドアイスを徹底的に試すことで、優勝を手にしてきました。

本日の大会も、指導いただいたことに忠実に、ベストを尽くします。

DSC03961.jpg ▲飯塚空我さん
所属:山九
種目手溶接
実績:国内の山九溶接士で技量を競う「山九溶接競技会2023」で優勝


競技会に関わらず、溶接で大切なのは溶融池の観察です。遮光面で狭まった視界でも、溶けた状態を正確に把握することで、各段に作品の精度は向上するからです。

出場するからには、当然、優勝を目指しており、腕を磨くことで、技術力と給料を上げていきたいです。本日の競技会はそのための通過点だと考えています。 

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