講習会「溶接技能の伝承法」盛況で幕 神奈川県溶接協会が技能伝承に立ち向かう!

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 技能伝承講習会

国内の溶接事業所の多くは人手不足を慢性的な課題にしている。

加えて、人材を獲得できたとしても、溶接は強いアーク光を発する作業であるため視認しにくく、「満足に技能教育を施すことができない」というのも、企業の大きな課題だ。

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そんな溶接事業所の課題を解決するべく、神奈川県溶接協会は1128日に「技能伝承講演会」を開催。

今回のWelding Mateでは、そんな「技能伝承講習会」に潜入した。

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 講習会の内容

当日、多くの溶接士・溶接事業所の社員を集めた技能伝承講習会。

dsc03651_720.jpg多くの来場者を集めた講習会の様子

内容としては、技能伝承のスペシャリストによる講演と、溶接シュミレータを使った体験会の2部構成となり、多くの来場者は溶接技能の伝承についての知見を深めた。

大盛況で幕を閉じた講演内容は以下だ。

dsc03656_720.jpg▲(株)クリエイティブワークス
■登壇者:宮本卓氏
■溶接技能教育の今とこれから~DXを活用した溶接の技能伝承~

クリエイティブワークスは町工場です。

だからこそ、「身の丈にあったDX」について追及してきました。技能伝承をひも解いていくと、溶接現象の理解×正確に再現する身体動作こそ「習熟した技能」と位置付けられます。

そこで、当社では近隣企業・団体と共同で溶接訓練支援システム「Doctor Welding」を開発しました。

職人技をデジタル化するために、「溶融プール」「トーチの動き」「身体の動き」「電流値」「ワークへの入熱」の5点に絞ってデータを取得することで、データベースを作成。

データベースを活用した新しい技能伝承の形を提案します。

DSC03660.jpg▲(株)IHI 
■遠藤直輝氏
■技術・技能のデジタル化と伝承

溶接技能伝承の難しさは、全ての溶接事業所の共通課題です。そこで、IHIでは技能伝承支援ツール「Welducator®」を開発しました。

このツールは、溶接士の視野・音声を記録することができます。

記録のメリットはリアルタイムでなくとも新人が熟練者の技を学ぶことができることだけでなく、品質管理・トラブルシューティングの活用が期待されます。

一般的な溶接遮光面に組み込めるコンパクトな仕様であり、作業者への負担はほとんどありません。

当社では、実際に、このツールを新潟トランシス工場で実装しています。

難易度が高い裏波溶接を数値化・分析した結果、初層では、「運棒の安定性」「入熱量」で、差が生じていることを把握することができました。

このツールの魅力は、技量を数値化することで、点数が低い工程を注力して訓練することができる点です。

DSC03664.jpg▲(株)総合車両製作所
■神田豊氏
■タイトル:ひずみ補正の技能伝承

溶接は安い・強い・軽いといった魅力があります。一方で、変形・残留応力・材質変化といったデメリットもあります。

溶接作業では多くの場合発生してしまうひずみですが、加熱修正は古くからある技術ですが「余計な作業」と毛嫌いされる傾向があります。

しかしながら、ひずみ補正の分野は、どうしても人の技能に頼らざる得ない部分が、多数ありあます。また、正確な知識がないと、自動化するにしても、ロボットにティーチングすることができません。

だからこそ、できるだけ多くの人に修正の技能に興味を持っていただきたいと思っています。

続いての「溶接シミュレータ実習」で使用されたモデルは以下。

■ナップ溶接トレーニング
コベルコ溶接テクノ(株)提供
https://www.kobelco-kwts.co.jp/nup-welding/

■ソルドマチックAR溶接シュミレータ
■リンカーンVRTEX360溶接シュミレータ
マツモト産業(株)提供
https://mac-exe.co.jp/pickup/soldamatic2022/

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