鉄道産業で培った技術で日本一目指す 神奈川溶接界初の全国区溶接女子 (株)総合車両製作所 二瓶美摘さん
各ものづくり産業から超ビックネームの企業が集う溶接超大国神奈川県。
そんな神奈川溶接界で歴史を覆す大事件が起きた。
それは、神奈川溶接界の歴史上、初めてとなる女性技能者が、全国溶接技術競技会に駒を進めたことだ。
溶接アベンジャーズと言われる神奈川溶接界
トップ技能者にランクインした二瓶さん
その小さな背中に(株)総合車両製作所1200人のプライドと、神奈川県を背負って全国出場を控える溶接女子、二瓶美摘さんに話を聞いた。
神奈川県から全国大会に駒を進めた女性技能者は初めてだと聞いています。
全国進出が決まってからというもの、多くの人から声をかけていただき、自分でも「注目されているな」と思うことが増えました。
注目される分、緊張もしますが、期待に恥じない溶接を全国大会で披露できるように、残り期間を技能の研鑽にあてるつもりです。
神奈川県溶接技術コンクールの様子
高校生の頃に、授業で数時間溶接を習いましたが、それ以来大学・大学院の計6年間はほとんど溶接に触れる機会がないまま素人同然で総合車両製作所に入社しました。
入社2年目で初めて神奈川県の溶接技術コンクールに参加するようになり、今回が3回目の挑戦。全国大会に出場することができることを、とても嬉しく思っています。
入社してから約1年間は、配属先にいた腕の良い先輩溶接士に、仕事の中で溶接を指導していただき、少しずつ溶接技能を修得することができました。
コンクールの練習では、前回の全国大会で入賞した経験を持つ青山正人班長や先輩・後輩と共に切磋琢磨した日々があったからこそ、今回好成績を残すことができたのだと考えています。また、昨年8月に生産技術へ異動となり、現場第一線から離れてしまったため、今回で最後のコンクール、最後の溶接という気持ちで挑みました。コンクール参加について、背中を押してくれた先輩方や現部署の方々には感謝しています。
背中を押してくれた上司・指導員と
笑顔をみせる二瓶さん
全国大会出場における目標は、前回の青山班長の溶接作品よりも高得点の作品を残すこと。溶接技能のイロハを指導していただいたため、成長を、言葉ではなく、高得点を叩きだすことで伝えたいと思っています。
そのために、溶接ビード外観の美しさはもちろん、X線試験・曲げ試験で試される溶接鋼板の溶け込みの状態について、「満点を取って当たり前」という状態まで練習を繰り返すつもりです。
総合車両製作所の溶接士は、コンクール前に、「練習100枚」などと言われる基準を遥かに凌ぐ量の研鑽を積みます。
総合車両製作所の溶接士は全員、練習量ならば絶対に負けません。
日々溶接技能を研鑽する仲間と二瓶さん
また、日々、向き合う鉄道車両の溶接技術はとても高難度です。入社してから多くの月日が流れましたが、今も、先輩溶接士の技量に驚きを覚える日は少なくありません。
全国大会ではこの10年では自動車関連メーカーが優勝することが多いですが、鉄道車両メーカーが今年で連勝を断ち切るべく、日本一を目指します。