北海道の溶接士 「社長を尊敬している」が溶接を続ける理由 永坂健次さん(溶接ニュース2024年7月23日付より)
人口減少が続く北海道では、「道外への人材流出を防ぐ」「減少する若手人材の取り合い」などの各産業・事業所での取り組みが激化している。
そんな中、北海道石狩市の配管製造のスペシャリスト(有)平山設備に2年前に入社した溶接士、永坂健次さんは、「毎日が新鮮で楽しい」と、はつらつと溶接作業に従事している。そんな溶接が大好きな永坂さんに話を聞いた。
溶接士としての日々を楽しむ永坂さん
以前は住居のクロス貼りをはじめとした内装の業務に従事しており、2年前に平山設備に入社して溶接士になりました。
溶接士になったことに大きな理由はないですが、溶接を初めて見た時から「格好良い」と漠然とした憧れがあったため、迷いはなかったのを覚えています。
また、内装の技術・技能については、一定量、身についたという自負があったため、今思うと、「見るからに難しそうな」溶接作業は、次の目標として相応しいと感じていたのかもしれません。
いざ溶接を始めてみると、見た目以上に難易度が高く、奥が深い。
ようやく美しい溶接ビードを引けると思ったら、次の溶接ビードの形状が崩れていることなどは日常茶飯事でした。
奥が深い平山設備の溶接技能
内装業も、溶接士も、基本的には繰り返しの作業になりますが、溶接の面白い点は、1つひとつが全く違う出来映えになるところでしょう。
特に、当社は1点物の受注が多く、1つひとつの溶接ビードに、作業者のコンディションや、蓄積した技量が映し出されます。当然、求められる溶接精度に到達しなければなりませんが、一方で、独自の溶接ビード形状が残るというのは、他の仕事では味わうことのできない達成感ではないでしょうか。
「少し手を左右に動かすウィービングの幅を大きくして、大きな溶接波で揃えてみる」
「ステンレスは入熱量を抑えないと酸化してしまうため、ウィーニングの一往復ごとに、電気量を上下させて調整する」
思いつく限り工夫して、試しているのですが、溶接技能には際限がありません。
思考するよりも先に、感覚的に把握できるようになることを、世間では職人技と呼ぶのだと改めて思い知らされています。
続いて、溶接の面白みを更に高めてくれたのが、当社の平山靖幸社長も溶接士であることです。
左:永坂さん、右:平山社長
一般的に「偉い人は現場作業は行わない」と思っていたのですが、当社では社長も一溶接士として日々現場に出てきます。
溶接の上手・下手を評価する平山社長が、一流の溶接士である以上、正々堂々、技術力を高めて認めてもらいたいと思っており、社長が技能者だからこそ、たまに褒めて頂く時には喜びも、ひとしおです。
将来の目標は、溶接はもちろん、社内で必要となる工程を一通り担当できる技能者になることです。
性格的に、「技能者として上を目指す」のが合っているように感じています。
また、近年、仕事を選ぶ基準が年間休日、給料、待遇、福利厚生など多様化していると聞きます。しかし、「仕事の面白み」や「尊敬できる先輩社員の存在」などが揃っていれば、仕事を続けていきたいと思えるのではないでしょうか。
これから溶接士を目指すという人に伝えたいのは、「印象よりも力仕事ではない」ということ。
バーリング加工の自動機
特に当社では、自動化できるポイントは自動化するという方針のため、10日もあれば機械操作を覚えて戦力になることができます。また、クレーンなども設備されているので、男性よりも筋肉量の劣る女性であっても、問題なく働くことができるでしょう。
安心して飛び込んできてください。