古河電工など4社 レーザによる錆・塗膜除去システム開発

積層造形・レーザ加工ニュース
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 古河電気工業、常石造船、商船三井、商船三井ドライバルクの4社は2月14日、船舶修繕における錆・塗膜除去のシステムの開発に向けた実証実験を実船の外板で実施したと発表。同システムの開発により「船舶修繕の環境負荷低減、労働環境改善を実現し、将来的に工程の省人化・自動化を目指す」とした。


 船舶修繕の際、船体の探傷検査や塗り直しのために錆・塗膜の除去が必要となるが、現行のサンドブラスト工法(砂状の研削材を対象物表面にぶつけて錆・塗膜を除去する方法)は、研削材や剥離した塗料が廃棄物として作業場に飛散し、これらの回収作業も必要となっていた。これを廃棄物の排出、粉塵や騒音が極めて少ないレーザ工法へ置き換えることで、環境負荷の低減と労働衛生の改善が期待できる。

 古河電工は、商船三井と商船三井ドライバルクの協力を2021年から年から産業用レーザで培った技術を応用した表面処理ソリューション「インフラレーザ」を活用した、船上整備における錆・塗膜除去のシステム開発に着手。また、古河電工と常石造船は、22年より船舶修繕における同システム開発に向けた実証実験を実施してきた。

 さらに、運航船の船上整備における環境課題解決に取り組む商船三井と商船三井ドライバルクが同開発に賛同し、活動に参画。インフラレーザを船舶修繕に活用することに将来性を感じ、持続可能な事業運営に向けて環境負荷の低減と労働衛生の改善に取り組んでいた常石造船と共創に向けた検討を開始、船舶整備・修繕用レーザ施工システムの開発を進めてきた。

 同システム開発は、古河電工が産業用レーザで長年培ってきた金属加工(溶接・切断・表面処理等)技術を、船舶塗装の下地処理における錆・塗膜除去の照射条件最適化に活かすことで、対象物への影響を抑え、環境負荷の低減を目指すもの。

昨年12月に商船三井の運航する船舶(外板塗料=関西ペイントマリン社製)で行った実証実験では、常石造船が造船・船舶修繕の現場での活用を想定したフィードバック、商船三井と商船三井ドライバルクが船舶運航およびその管理者としての開発サポート・フィードバックを実施。これらをインフラレーザの開発に反映し、実環境での使用に適した形状および仕様に最適化していく方針。

 今後は「船舶の錆・塗膜除去および塗装において従来のサンドブラスト工法から置き換えを可能とする船舶修繕用レーザ施工システムの開発を加速させる。引き続き、反力ゼロというレーザの特性を活かしたシステムの自動化検討を行い、船舶整備・修繕工程の省人化・自動化を目指す」としている。

実船における実証実験のもよう

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