風車基礎製作でサブマージ溶接などが活躍
福岡県北九州市響灘で我が国最大規模となる洋上風力発電事業「北九州響灘洋上ウインドファーム」が進められている。建設される風車は計25基、基礎は着床式ジャケットによる組立て式を採用。洋上風力発電事業には溶接技術が大きな役割を担い、基礎や風車タワーの製作では、厚板大型構造物を効率よく溶接するサブマージアーク溶接などが適用されている。
同ファームの風車本体はベスタス社製だが、基礎は日鉄エンジニアリングが受け持ち、サブマージ溶接を適用して製作している。杭打船やSEP(自己昇降式作業台船)で海底の地盤に杭を打ち込み、その後、陸上で組立てたジャケットを起重機船(クレーン船)で洋上運搬し設置する。洋上組立は五洋建設が担当し、将来の解体を見越してボルト接合を採用。同プロジェクトは九電みらいエナジー、電源開発出資のデベロッパー、ひびきウインドエナジーを中心に進められ、昨年3月13日に建設工事が始まった。2025年度の営業運転開始を目指している。
日鉄エンジニアリングは、同プロジェクト以前に石狩湾新港に14基の風車を建設した実績がある。北九州市若松にある洋上風力ジャケット式基礎組立工場でジャケットを製作。担当者によると、サブマージアーク溶接の利点は、「高品質かつ高能率な溶接のため大規模な洋上風力発電に活用している」と言う。
洋上風力発電設備は今後、秋田、新潟、長崎、山形、青森などで建設が予定されている。溶接技術が果たす役割に大きな期待がかかる。