金属積層造形によるロケット液体燃料タンク製作へ

溶接
twitter fb

 清水建設とJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)は、JAXAの「革新的将来宇宙輸送システム研究開発プログラムのオープンイノベーションによる共創体制の枠組みのもと、「金属積層造形を用いたロケット液体燃料タンク製造技術」に関する共同研究を進めている。その第1ステージとして積層造形技術の基礎的な成立性を確認できたため、将来の大型タンクへの適用に向け、サブスケール供試体の試作に向けた検討をスタートした。
 この共同研究は、次期基幹ロケットや民間主導による新たな宇宙輸送システムに向け、ロケット構造の抜本的な低コスト化を実現するため、清水建設が保有する金属積層造形(AM)のWAAM(Wire-Arc Additive Manufacturing)技術と、JAXAが保有する宇宙輸送システム技術を組み合わせることで、アルミ合金製液体燃料タンク等の大型構造体を低コストかつ短期間で製造する技術の確立を目指すもの。
 これまでの成果を踏まえ、サブスケール供試体の試作に向けた積層造形装置の整備や、造形プロセスの確認等を行い、供試体の試作を通して造形精度や品質安定性などの検証を行う。
 清水建設では、地上用途としてこの技術を建設材料の製造にも活用していいく方針で、液体ロケットの極低温液体燃料タンク等の大型構造体は金属組立構造を基本とするため、部品点数が多く加工・組立工数がかさんでしまい、ロケット構造の高コスト要因のひとつとなっていることから、革新的将来宇宙輸送システムの抜本的な低コスト化を実現するために部品数や加工・組立工数の圧倒的削減により、大型構造(とくに液体燃料タンク)製造費を大幅低減することが課題となっていることを踏まえ、ロケット大型構造/液体燃料タンクの製造にAMを適用し、材料費・加工/組立費を大幅に低減することを本共同研究の目的としている。とくに本共同研究では、アルミ合金製・大型薄肉構造・高速/高精度造形に関する技術課題を解決することで、広く他分野の製造技術としても応用可能なAM技術の確立を目指すとしている。
AM_JAXA.jpg

share SNSシェア
twitter fb