多摩川スカイブリッジに鋼管矢板、地震への耐力を確保

溶接
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 昨年3月に開通した多摩川スカイブリッジ--。羽田連絡道路整備事業の一環として建設したもので、川崎市殿町のキングスカイフロントと東京都大田区の羽田空港を結ぶ橋長675㍍の橋梁である。

 同橋梁の建設に携わった五洋建設によると、施工にあたっては、鋼管矢板が大きな役割を果たした同橋の施工現場は水深が浅いため、作業船が航行できるように浚渫を行ってから下部工の施工に取りかかったという。

 まず、中央支間長240㍍の箱桁を二つの橋脚で支えながら、想定する最大規模の地震への耐力を確保するため鋼管矢板井筒基礎を採用した。

 通常は、1200㍉大径(1200㍉)井筒基礎の鋼管矢板を打設するには、杭打ち船など杭を垂直に打ち込むリーダーを備えた作業船で行う。しかし、同現場では航空制限や水深が浅く入域できないため橋脚の両側に作業構台を構築し、200㌧吊クローラクレーンを配置して、バイブロハンマーと国内最大級の油圧ハンマーで打設するフライング工法で打設した。鋼管矢板を接合する継手には、せん断剛性・せん断耐力に優れ、経済的かつ迅速な施工を可能にする高耐力継手を採用。これにより一部の橋脚では、隔壁数を基本設計時の4列から2列に減らし、長さも32.5㍍から29.6㍍と約10%縮小できたとする。井筒状の基礎の打設後は内部を掘削し橋脚躯体工をスタート。「河川内橋脚の基礎工は実に1年を要した」とする。

 また、同橋のRC橋脚には、鉄筋定着工法を採用している。鋼桁下フランジに100㍉径の鉄筋挿入孔を設け、そこに鉄筋を挿入してコンクリートを充填し剛結する仕組みだ。当初は針山のように配筋された所に鋼桁を架設する計画だったが、架設後に鉄筋を孔に差し込み、機械式継手で橋脚の鉄筋を接合する方法に見直し作業の迅速化を図った。

鋼管矢板に適用された高耐力継手.jpg

鋼管矢板に適用された高力継手

【溶接ニュース2023年9月19日号より】

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