島津製作所,6kW青色半導体レーザを開発
写真は,ブルーレーザによるモータコイル用銅平角線の溶接例と厚さ3mmの銅板への貫通加工例。
島津製作所は,青色半導体レーザ光源「BLUE IMPACT」で6kWを達成するとともに,加工対象に合わせて照射ビームの形状を調整できる「オンデマンドプロファイル制御技術」の搭載に成功した。同技術により,高出力でも安定した溶接の実現および高品質で高スループットな加工が可能になる。
今回発表した6kW青色半導体レーザ光源は,新開発した1kW青色半導体レーザ光源と,同レーザ6台の出力光を結合する独自の加工ヘッドで構成。1kW青色半導体レーザの出力ファイバーには長方形のコア形状を採用した。
円形形状で走査した場合,中心部と周辺で熱の伝わり方に差が生じるが,長方形の場合は全域で均一に熱を伝えることができ,かつ照射面積の拡大で高輝度化が図れるため,安定した高速加工が可能になるという。
さらに,束ねたレーザ6台の出力や照射位置をそれぞれ独立制御できる,世界初のオンデマンドプロファイル制御技術を実装した。加工対象物の形状に合わせて,溶接の中心部には強いレーザ光を照射し,その周りは弱いレーザ光を照射するように制御。溶接時に溶融した金属粒子の飛散を抑制することで高品質な加工ができる。
同社では2016年度から高輝度・高効率レーザを用いた加工技術に関するNEDOプロジェクトに参画。大阪大学接合科学研究所接合プロセス研究部門レーザプロセス学分野の塚本雅裕教授とともに多数の青色半導体レーザ素子出力を束ねる独自のコンバイン技術を開発し,加工用光源に求められる高輝度と高出力を両立に成功した。