アメリカ海軍横須賀基地にみる艦船のNDT
艦船における非破壊検査(NDT)は、厳格かつ適正な適用が欠かせない。アメリカ海軍横須賀基地でも各ドックでの現場検査や部品を下ろしての細部に及ぶNDTが防衛任務を支えている。溶接後の安全を担保する検査業務を行っている。
基地内には、米国海軍横須賀艦船修理廠及び日本地区造修統括本部を意味するSRF―JRMCと呼ばれる部隊があり、約2800人が勤務する。彼らの使命である「Keep the Seventh Fleet Operationally Ready(第七艦隊の艦船を常に機能できる状態に保つ)」をモットーに航空母艦をはじめとするアメリカ第七艦隊の様々な艦船における修理や改修工事、関連する業務を行っている。
基地内で艦船を修理する海軍施設のドライドック(水を抜くことができるドック、乾ドック)が全体で6基あり、1871年に1号ドックが完成。横須賀港のヴェルニー公園対岸に位置する場所に1号ドックから3号ドックまでが並ぶ。その後、1905年には艦船の大型化に対応するため長さ239㍍の4号ドック、16年に長さ322㍍の5号ドックが完成。
1940年に完成した全長約337㍍の6号ドックは、当時の日本としては最大規模で、旧海軍の戦艦大和型三番艦の航空母艦「信濃」もここで建造された。全6基のドライドックは、メンテナンス用として今も現役だ。6号ドックでは現在、ミサイル駆逐艦USSジョン・フィン(DDG113)への装備のアップデートが行われている(写真)。
戦闘艦のメンテナンスにおいては、艦船本体や付随する機械部品などの溶接部で行われ、検査手法は超音波探傷試験(UT)から浸透探傷試験(PT)、放射線透過試験(RT)まで幅広く適用されている。
SRFーJRMCのランドール・バゥカム広報部長によれば「内製作業と協力会社へ委託する外注作業があるが横須賀基地においては、約75パーセントが基地内の職員が行う内製作業で行っている。対して佐世保基地においては内製作業が少なく、約70パーセントが外注作業で行われている」と説明する(詳しくは『検査機器ニュース』10月20日付秋季特集号にて)