AWI、極低温技術と液体窒素利用の青果物など急速冷却システム開発

産業ガス
twitter fb

【電子版ガスメディア12月3日号より抜粋】

機械式冷凍機比で冷却時間が8分の1に

 エア・ウォーターはこのほど、産業ガス事業で培った極低温技術と液体窒素の冷熱を利用して青果物などを急速冷却できるシステムを開発した。このたび同社が開発した急速冷却システムは、グループ会社であるエア・ウォーター北海道・産業ガスの極低温技術を活用し、液体窒素の冷熱を短時間で効率的に青果物に供給できる可搬式装置。液体窒素式の場合、簡単な構造でマイナス196度での蒸発潜熱と顕熱による大きな冷熱を供給することができる。この冷熱の活用により従来の機械式冷凍機では8時間かかる冷却時間が1時間まで短縮できたことを実験にて確認している。また同システムは可搬式のため、酷暑期間中に小売店舗などのバックヤードでの一時的な仮設冷蔵庫としての活用も可能だ。同社グループでは、スマート農業技術や加工・物流機能の強みを活かした新たなビジネスモデルの創出を通じて、地域農業の振興、食料自給率の向上、食品ロス低減などSDGs達成に向けた取り組みを進めている。

同社グループは地域農業の振興、食料自給率の向上、食品ロス低減などSDGs達成に向けた取り組みを推進

 品種や収穫時期ごとに異なる青果物の鮮度保持条件を最適化してレシピとすることで、同システムの利用を拡大していく。将来的には急速冷却システムの自社運用だけでなく、産地の要望に応じたシステムのレンタルや青果物流通企業への販売のほか、急速冷却システム向け液体窒素の販売、産地予冷を活かした海外への国産青果物の輸出、鮮度の良い原料を用いた高級食材への加工といった幅広い事業展開を目指す。グループ内にさまざまな事業を持つ強みを活かしたシナジーを創出することで、新鮮な食材を消費者に届けて健康増進をサポートし、鮮度保持によって食品ロスをできる限り抑えるなど、社会課題の解決に取り組むとしている

share SNSシェア
twitter fb