BIOTECHWORKS-H2、水素化技術でゴミを再エネに
BIOTECHWORKS-H2(渋谷区、西川明秀社長)は有機廃棄物から水素と二酸化炭素などを精製する水素化技術を活用し、ゴミを再生可能エネルギー(再エネ)に変える「廃棄物ZEROプロジェクト」に取り組んでいる。同社はアメリカのプラント会社と提携し、カリフォルニア州に5トン/日規模の有機廃棄物から水素と炭酸ガスなど製造できる能力を有するパイロットプラントでの実証を進めており、2025年には大阪に新たなパイロットプラントを建設開始予定でプロジェクトの実現に向けた取り組みを加速させている。
有機廃棄物から水素と炭酸ガスなどを精製する水素化技術の概要
BIOTECHWORKS-H2は2023年、アパレルのODM・OEM、生地開発などを手がける、やまぎんが設立。ファッション・衣料分野を中心に事業を展開していたやまぎんが廃棄物を利用した再エネの生産を目指す同社を創設した経緯について、仁谷美喜COOは「ゴミとして排出される衣料品は約80%が廃棄処分されており、大きな課題となっている。やまぎんでは従来よりサステナブル素材の開発を得意とするなど、地球環境を守りながら事業展開していくことに注力してきた。『将来の地球、未来の子供たちへ』を合言葉として、ファッション業界のカーボンニュートラルの実現、ネットゼロ社会の構築を目指すプロジェクトを具現化するための事業会社として当社を設立した」と説明する。また、水素化する廃棄物を衣料品だけではなく有機廃棄物全般を対象とする理由を「同技術では衣料品以外の有機廃棄物でも水素化できることを実証している。水素製造技術としてのスケールや経済的合理性に加えて、カーボンニュートラル技術としての社会的意義なども考慮した場合、衣料品だけを対象とするよりも有機廃棄物全般を水素化できるプラントとして展開した方がサーキュラーエコノミーとして価値の高いシステムになる」と語った。
仁谷美喜COO
同技術は、有機廃棄物をガス化し、水素と二酸化炭素に分解することで、再生可能エネルギーを生み出すというもの。水素は燃料電池や水素ステーションなど、二酸化炭素は工業製品や飲料など、さまざまな分野で活用できる。さらに、残渣もリサイクルすることで、廃棄物をゼロにすることを目指している。既にアメリカで実証実験が進んでおり、日本国内においても、同技術を活用したプロジェクトが進行。9月にはOPAが運営するファッションビル施設に、衣料品回収ボックスを設置し、回収された衣料品を水素に変換する取り組みをスタートさせた。2025年には大阪で大阪産業局の支援による、新たなパイロットプラントの建設開始を予定2030年までに全ての有機廃棄物を水素と二酸化炭素に転換できる技術を実現し、循環型社会の実現に貢献することを目標とする。 今後について仁谷COOは「廃棄物ZEROプロジェクトのさらなる促進に向けて、同技術で生産された水素、炭酸ガス、スラグをより有効に活用できるような知見を有する事業会社や、当社の思いや取り組みに賛同する投資家などのパートナーを募集している。当社のプロジェクトや技術に興味のある企業・団体は是非とも声をかけて欲しい」と述べた。