清水建設、イノベーション拠点「NOVARE」で 水素蓄エネルギーの実証運用を開始

産業ガス
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 清水建設はこのほど、水素エネルギーの利用拡大を目的に自社のイノベーション拠点「温故創新の森NOVARE」(東京・江東区)において、水素サプライチェーンを活用した水素蓄エネルギーの実証運用を開始した。

実証、同拠点に実装した水素エネルギー利用システム「HydroQ-BiCTriCE」を活用するもので、敷地外から受け入れた水素を水素吸蔵合金タンクに貯蔵し、必要時に抽出して電力に変換することで、消費エネルギーの脱炭素化を促進させていく。2024年度は山梨県米倉山のグリーン水素製造サイトから年間40GJの水素ガスを受け入れ、NOVAREの構成施設4棟で電力エネルギー源として活用する計画だ。

カーボンニュートラル社会の実現に向け、再生可能エネルギーのさらなる利活用が求められる中、同社は建物附帯型水素エネルギー利用システム「HydroQ-BiC」を活用した水素蓄エネルギーの導入提案に注力している。

「HydroQ-BiC」は、同社と産業技術総合研究所(産総研)が共同開発した水素蓄エネルギー設備で太陽光発電の余剰電力を利用して製造した水素を常温・低圧で水素を吸蔵・放出できる水素吸蔵合金タンクに貯蔵。

タンクに内蔵した水素吸蔵合金は、着火せず非危険物として使用できるため、一般施設にも容易に展開できる特徴を有する。

他方、「HydroQ-BiC」はオンサイト型の水素蓄エネルギー設備であり、再エネ設備の設置面積の制約から蓄エネルギーに利活用できる水素の量に制約があった。

そのようななか、同社と産総研は、オフサイトからの水素供給を目的に、外部から持ち込んだ水素を短時間で取り込める急速充填用水素吸蔵合金タンクを新たに開発し、オンサイト・オフサイト双方からの水素供給に対応できる新システム「HydroQ-BiCTriCE」の構築に成功した。

NOVAREに実装した「HydroQ-BiCTriCE」の水素貯蔵設備は、容量200N㎥の標準型タンクと容量250N㎥の急速充填型タンクで構成。急速充填型タンクには、反応性の高い除熱機構を組み込んでおり、熱媒がタンク内の合金を冷却することで、水素吸蔵が促進される。

外部からの水素輸送には水素カードル車を利用し、1回あたり最大250N㎥の水素をカードル車から受け入れる。同社によると、カードル車の入場から退場までの所要時間は2時間以内を見込む。

また今後の計画では将来的にNOVAREでオンサイト製造・オフサイト供給を合わせ年間累計910GJの水素を貯蔵することでZESの実現を目指す。

子版ガスメディア9月10日号より

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