水素エンジンR&D(研究開発)センター 常石造船の敷地内に完成

産業ガス
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 ジャパンハイドロが運営する「水素エンジンR&D(研究開発)センター」が9月4日、常石造船の敷地内(広島県福山市)に完成した。同センターは水素エンジンの試験設備と船舶用に特化した水素ステーション(2025年1月完成予定)を併設する形で構成されているが、造船所内にこのような水素関連の施設が整備されるのは世界初になるという。

同センターでは水素燃料船の設計、水素エンジンの試験、認証取得、実船への水素充填を一気通貫で実施できる設備があり、今後は水素燃料によるゼロエミッション船開発への活用だけでなく、大型トラックや重機などの大出力が求められる機械への水素エンジンの適用など、幅広い用途での活用が想定されている。

同センターは2050年に内航分野におけるカーボンニュートラルを実現するために世界に先駆けて水素を燃料とした船舶(ゼロエミッション船)を開発し、実証実験を行う「水素エンジンゼロエミッション船実証運航コンソーシアム」内の事業として建設されたもの。

同センターは水素エンジンの性能試験や認証取得が可能な試験設備(テストベンチ)を整備されているのに加えて、国内の水素エンジン開発を推進していくことを目標としており、ジャパンハイドロ以外の水素エンジン開発を目指す研究機関や企業も同センターの設備を活用することができる。

水素エンジンを搭載した船舶には自動車などへの水素充填を目的とした既存の水素ステーションとは異なり、大容量かつ港湾に対応した設備が必要となるが、同センターでは25年1月頃の完成を目指し、船舶用の大容量水素充填設備や船の係留設備、揺動対策がされた世界初の船舶用水素ステーションが完備される予定。

ジャパンハイドロは常石グループとCMBグループ(ベルギー)の出資により設立された技術商社で水素エンジン船などを手掛ける。「水素エンジンゼロエミッション船実証運航コンソーシアム」内ではリーダー企業として活動しており、世界初の水素混焼エンジンを搭載した19総トン型の商業旅客船「ハイドロびんご」などを保有している。

電子版ガスメディア9月17日号より

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