サントリー、ウイスキーの水素専焼蒸溜に成功

産業ガス
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 サントリーはこのほど、山崎蒸溜所内(大阪府島本町)の品質研究・技術開発用の小型蒸溜施設である「パイロットディスティラリー」にて、ウイスキーの「直火蒸溜」を水素専焼で行う実証実験に成功したと発表。

同社によると水素専焼で蒸溜したニューポット(ウイスキーの製造工程における終えたばかりの無色透明な原酒)は、従来の都市ガスで「直火蒸溜」を行った時と変わらず、美味なウイスキーづくりに重要な「コクがあり力強い味わい(骨格)」をもつ品質であることが確認できたという。

水素は「高温で燃え、燃焼速度が速い」など、従来の都市ガスとは異なる特性があり、実験では水素に対する技術的知見のある東京ガスグループと燃焼設備メーカーであるSRCとの技術検証を経て、安全対策を実施のうえ、パイロットディスティラリー内の燃焼設備を水素燃焼仕様に変更し、これまで同様の「骨格」をもつニューポットの蒸溜を実現した。

同社によると1キロリットル以上の蒸溜釜での「直火蒸溜」においてウイスキーを水素専焼による蒸留に成功したのは世界初。なお、蒸留工程自体は水素100%での燃焼であるが、安全上の理由で燃焼開始時・終了時のみ都市ガスも使用した。

今後は白州蒸溜所(山梨県北杜市)での蒸溜において、水素専焼の実用化に向けた製造設備規模での技術検証に取り組んでいく。白州蒸溜所への導入の際は、「サントリー天然水南アルプス白州工場」および白州蒸溜所内の「やまなしモデルP2Gシステム」で生成したグリーン水素の使用を検討している。

ウイスキーを水素専焼で「直火蒸溜」することに成功

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