JFE、ドローン搭載用ガスリーク検知器開発
プラントの老朽化が進むなか、高圧ガス設備を含む点検やメンテナンス作業でデジタルトランスフォーメーション(DX)技術を積極的に活用するスマート保安に取り組みJFEスチールはこのたび、グループ会社のJFEアドバンテックと共同でガスリーク(気体漏れ)検知器「ドローン搭載型エアリークビューアー」を開発し、同社の全製鉄所への導入を完了したと発表。高所の高圧ガス配管設備でも地上から人がガスリークの点検することが可能になった。
製鉄所では鉄の製造過程において、様々な種類のガスを利用しており、全長数百キロもおよぶ管設備についてガスの性質や立地に合わせた点検を実施している。
一方で高所の高圧ガス配管設備の点検は足場を設置した上で人が作業するケースも少なくなく、ドローンにガスリーク検知器を搭載し、点検する技術を確立できれば、安全性向上と工数削減に大きな効果があると期待されていた。
しかしながら、「エアリークビューアー」は、ガスが漏洩する際に人の耳には聞こえない超音波が発せられることを利用し、ガスリーク箇所を可視化する検知器で複数の超音波センサで受信した音波信号を合成して音圧マップを作成し、可視画像と重ね合わせることでガスリーク箇所を可視化しているため、ドローンに搭載する場合はドローンから発生するプロペラ音がノイズとなり正しくリーク箇所を検出できない課題があった
そこで、ガス漏洩時のリーク音の音響特性を調査し、リーク音とドローンのプロペラ音を判別しやすい周波数帯で測定可能な超音波センサを新たに採用。さらに、ドローンに積載可能な重量とするため、センサの小型軽量化と独自形状の遮音フードの開発に取り組み、センサ部へのプロペラ音の侵入防止とドローンの飛行安定性の両立を実現した。
同社では「同製品の活用により高所の高圧ガス配管点検作業の安全性向上と工数削減による迅速化を実現し、さらなる安定操業に努めていきたい。当社ではDXを積極的に推進することで、革新的な生産性向上および安定操業の実現を目指しており、今後も製造現場におけるあらゆる分野の課題を、DXを通じて解決していくことで、持続可能な社会の実現に貢献したい」とする。
ドローン搭載型ガスリーク検知器