ダイキン工業と同志社大、排出されるCO2を溶接用アセチレンとして再利用する技術を発見

産業ガス
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ダイキン工業と同志社大学は11月15日、C02を溶融塩電解により溶接用のアセチレンとして再利用を可能にする技術の実証に成功したと発表した。
 溶融塩電解は高温の溶融塩のなかで電気分解する方法で、かねてより同志社大学理工学部の後藤琢也教授らがダイキン工業と共同で研究を進めてきた。
 今回の共同研究では特定の金属塩化物と金属酸化物からなる高温の溶融塩にCO2を投入し、電気分解を行うことで、アセチレンの主原料であるカーバイドが合成可能な新技術を生み出した。
 具体的には食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)などを含む金属塩化物と、金属酸化物である生石灰(CaO)からなる溶融塩を500℃以上に加熱し、CO2を注入の上で電気分解を行うことで、陰極上にカーバイCO2ド生成される。
 新技術で合成したカーバイドは従来のカーバイドと同様に水を反応させることで、溶接や溶断などで利用できるアセチレンを生成することが可能になるという。
 アセチレンは溶接・溶断用に加えて、水道管に使用する塩ビ管などの合成樹脂の原料としても活用されるなど用途が広く、産業用の物資として有用な特性を持つ。一方でアセチレンの原料であるカーバイドを作るためには、石炭から得られるコークスと石灰石を約2000℃に加熱する必要があり、製造工程において多大なエネルギーを消費しCO2が排出されることが課題であった。
ダイキン工業では新技術について「今後は、溶融塩の組成や電極材料、電解条件などを最適化することでCO2からカーバイド、そしてアセチレンへの製造過程が、より効率的になることが期待される。将来的に新技術をC02の排出量が多い火力発電プラントなどに活用することで、CO2をアセチレン製造用の資源として再利用可能なため、大気に排出される温室効果ガスの削減に貢献ができる」とする。

CO2からカーバイドが生成されるメカニズム

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