九州大学発スタートアップ企業JCCL固体吸収剤によるCO²回収装置を製品化
JCCL(福岡市西区、梅原俊志CEO)はこのたび、固体吸収剤によるCO²回収装置の「VPSA1」およびCO²分離膜性能評価装置の「VSS1」の製品化に成功した。
「VPSA1」は調湿されたCO²含有ガスを固体吸収剤に供給してCO²を吸収させ、相対湿度が自動制御された減圧蒸気を定量供給することで1日2㌔㌘程度のCO²を97%以上に濃縮・回収できる
装置の特徴として、①独自の減圧・調圧・蒸気供給・温湿度制御システムにより回収時の圧力水蒸気供給量を任意に設定して分離性能を評価することで最適な分離条件を実験的に探査・検証可能②供給ガスの温度および相対湿度を任意に設定し、各種燃焼後排ガスや室内空気などを模擬したガスを供給し、対象ガスに合った最適な分離条件を検討可能③独自動調圧・調湿機能および排水機構により加湿・水蒸気供給実験で課題となる結露を防止し、万が一結露水を生じた際も装置を止めること無く排水が可能――などの機能があり、小規模実証や研究開発で利用を想定している。
同社では「湿度が高いガスからのCO²直接回収が可能な固体吸収剤を使うことで、排気ガスや空気の除湿が不要となり従来手法に比べ、最大4分の1程度の低コストで回収が可能になる」とする。
「VSS1」はCO²分離膜に、調湿されたCO²含有ガスを流し、透過側を減圧、蒸気供給することで膜の性能を評価する装置。「CO²分離膜によるCO²回収・利用プロセスの実証」、「自社開発した分離膜で回収可能なCO²の量や濃度の定量的な評価」、「CO²分離膜を使用し、効率よくCO²を回収する操作条件の検討」などのシーンで活用できるという。
JCCLはCO²回収・再資源化技術を核として、2020年に設立された九州大学発スタートアップ企業で、今回製品化した装置は九州大学工学研究院の星野友教授の特許技術をコア技術とし、福岡市をはじめとする公的機関からの支援・共同研究を経て、同社が完成させた
「VPSA1」のモデル図